脊髄通電

微弱電流の通電法に脊髄通電と呼ばれるものがあります。電極を頚部と仙骨につけて通電すると、筋緊張の緩和、ストレスの緩和などの症状に対して効果を期待できます。脊髄通電を調べていくと、67年前に東京大学の田坂貞孝先生が出版した「低周波脊髄通電療法:半身不随の新電気療法」にたどり着きました。脳卒中を患った鳩山一郎元総理大臣が低周波脊髄通電の原形を受けたことで生還したと報道されました。当時、「奇跡の療法」と呼ばれ、患者さんが東京大学のまわりを一周半したことが新聞に掲載され、この治療法が全国の国立大学病院に導入されました。しかし、治療器が高額で、診療報酬が安く、病院経営の足かせになってしまったことから、全国から消滅し、現在、この治療法を行う医療機関は存在せず、治療方法や効果も忘れ去られてしまいました。国立国会図書館に文献があるものの、現在に蘇らせることは中々に難しいです。昔の先生方はすごいです。当院では、脳卒中の方に微弱電流脊髄通電療法を施すと、はじめは電気が流れにくく、日数を重ねるごとに徐々に流れやすくなる傾向にあり、流れやすくなるとともに動きが少しだけ良くなります。